「The Root」

『The Root』

第7回ローザンヌビエンナーレ
所蔵:トムズポーリー財団/ローザンヌ、スイス
la Fondation Toms Pauli/ Lausanne, Swiss

第7回ローザンヌビエンナーレ1975年入選以後、
ローザンヌ州立美術館常設展示、フランスクレアタピスリー選抜展、
トムズポーリ財団所蔵となる。

『The Root』はファイバーアート分野にタピストリーから立体として自立するスカルプチュアの要素をもたらす影響を与えた。

「麻縄を垂直に自立させる」誰も縄が垂直に立つとは想像もしない。
しかし、わたしは縄の物理的構造すなわち、5本縒りの縄の中心に空洞がありその空間に同質繊維を芯にして5本のストランドを縄に綯うことに着眼し、同質繊維芯の代わりに構造体となるべき鋼管を使うことに成功した。世界で初めての試み。鏡面ステンレス造形物から麻縄が自立するファイバースカルプチュアの誕生だ。
 石や金属に対して縄は弱い、朽ちる。しかし縄なくしてストーンサークル、巨石立像、ピラミッドなど建造できたであろうか。
しなやかで柔軟、弱い有機のものこそ真に強いといえるのではないだろうか。現代は高度文明を求めれば求めるほどに、この弱き小さな生きものを切り捨てる社会になる。わたしは弱きものにこそ光を当てたいと、しなやかに自在に操れる縄を、あえて硬直に直立させたのだ。弱き縄は強い縁の下の力持ちなのであると。

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縄自体が神木のように上昇し、天と地を繋ぐ垂直軸として屹立し、鏡面には一本の縄が数本の縄にあるいは巨大に太い縄にと視る角度弱くて朽ちる有機物こそ本来の強さといえるのではないか。で変化し、どこまでも大地に根をはっていくイメージが映されて行く。人の立つ場所すなわち視点角度によって、一本の垂直に自立する縄の実像が自由自在に虚像をつくり、大地の奥深い見えない世界を無限に変容させる。まっすぐにそそり立つ縄はラセンを描きながら天を突抜け、あくまでも地にも続いて行く、天と地はダイナミックに往来し永々と繋がる。

『The Root』は第7回ローザンヌビエンナーレ1975年入選以後、 ローザンヌ州立美術館常設展示、フランスクレアタピスリー選抜展、
トムズポーリ財団所蔵となる。『The Root』はファイバーアート分野にタピストリーから立体として自立するスカルプチュアの要素をもたらす影響を与えた。

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